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戦闘機人 クロスワールド IS編 No.2

狙われた簪の運命や如何に!






簪がギンガと出会って一か月程経った。
その間、簪は頻繁にギンガに会っていた。
外出する理由は様々だったが、以前にも増して近づきづらいオーラを放つ簪に周りは何も言えなかった。
それはギンガの指示によるものだった。
元々IS製作を一人きりでやると周りを遠ざけていた簪の行動に疑問を抱かなかった。
といっても一部は心配という意味で気にかけいたが。
「こんにちわ」
「ええ、いらっしゃい」
そうして今日も簪はギンガの下を訪れていた。
最初こそギンガの会社の話だったり、世間話をしていた程度だった。
だが今では簪は自分の悩みや苦悩までもギンガに曝け出していた。
それもひとえに姉への愛情があった。
大好きだった姉。
いっぱい甘えていた姉。
どんな時でも助けてくれた姉。
それが数年前に砕け散った。
他ならぬ姉の言葉によって。
そんな簪の前に現れたギンガは正に理想の姉だった。
聡明で優しくどんな事も受け入れてくれるギンガに依存したのは当然とも言える。
「あの…ギンガさん、今日は…」
「あら、二人きりの時はなんて呼ぶのだったかしら?」
「はい…ギンガ姉さん…」
話し始めた簪の唇を、ギンガはそっと指を当てて遮った。
一方の簪もうっとりとしながらギンガを姉と呼んだ。
これは簪が自身の事を話した時に決め合った事で、辛い思いをしていた簪を
ギンガは優しく抱きしめた。
それからギンガは二人きりの時は自分を姉と呼んでよいと言い出した。
最初こそ遠慮していた簪だったが、一度姉と呼んでみるとその胸に大きな安堵と安らぎを感じられた。
一度呼んでしまえば戸惑いなど吹き飛んでしまう。
そんな魅力がギンガにはあった。
「ねぇ簪、ちょっとついてきてくれる?」
「?うん」
そう言って立ち上がったギンガに、簪は迷う事なくついていく。
ギンガについて行くと、目の前にはいくつものポッドが並んだ研究室があった。
「ギンガ姉さん…此処は…?」
「ここは私のラボ。そして貴方の新しい居場所」
「私の…居場所…?」
普段着ているスーツの上から白衣を纏ったギンガを簪は呆けた表情で見ていた。
「ええ。簪、貴方は今の自分を変えたくない?」
「今の…私…?」
「そう。誰にも負けない美しく、至高の存在に」
「至高の…存在…?」
そう言うとギンガは近くにあったケースの中から一着の服を取り出した。
それは全身を覆う青と紫で彩られたラバースーツ。
「まずはこれを身に付けなさい」
「…はい」
まるで誘蛾灯に引き寄せられる蛾のように、簪はフラフラと近づいて行った。
着ている服を無造作に脱ぎ捨て、産まれたままの姿になった簪はマジマジとスーツを見つめていた。
ふと顔を上げるとギンガが微笑んでいる。
それを見た簪は安心してスーツに足を通し始めた。
「んぅ…これぇ…」
首元を開き、右足を入れた簪が感じたのは紛れもない快楽だった。
「まだ片足じゃない。全身を覆えばもっとスゴイわよ?」
「っ…もっと…」
ギンガの言葉に簪は思わず唾を飲み込んだ。
「ん…はぁ…」
左足、腰、そして両腕と次第にラバースーツに包まれていく簪は幸福を感じていた。
信頼し、姉と慕う人の前で今まで味わった事のない快楽を得ている。
それが簪の心を支配し、満たしていた。
「んはぁぁ…」
フェイスガードを固定し、顔と頭以外の全てをラバースーツに包まれた簪はえもいわれぬ感覚に身を浸していた。
しかし次第に簪は幸せな感覚とは別にもう一つ感じ始めていた。
それは物足りなさ。
具体的に何が足りないのかはわからない。
だがしかし!決定的に何かが足りない感覚。
次第にそれは、簪を苦しめ始めた。
「姉さん…姉…さん!」
「どうしたの?」
苦しそうに胸を押さえて叫ぶ簪に、ギンガはあくまで優しく微笑んだ。
「足りない…足りないよぉ…」
「何が足りないの?」
「分からない…分からないのぉ…!怖い…怖いよぉ…!」
「フフ。大丈夫、大丈夫だから」
「あっ…」
錯乱し始めた簪を、ギンガはそっと抱きしめた。
「意地悪してゴメンね?でもこれは必要な事なの」
「…あぁ…ねぇさん…」
もはや優しく頭を撫でるギンガの言葉は簪にはほとんど届いていない。
「簪、聞いて?」
「ふぇ?」
優しく、優しくギンガは話し始めた。
「実は私は只の人間じゃないの」
「え…?」
「本当の私は戦闘機人。人と機械の融合した戦闘兵器。それが本当の私」
話しをしていく内に、金色だったギンガの瞳はさらに輝きを増していた。
「私はこの世界を支配する為にやってきた。そして簪、貴方はその第一番目なのよ」
「……」
「貴方に近付き、信頼させて私に依存させる。貴方が私を姉代わりに思うように誘導していたの。こんな私をどう思う?」
「…ふぇへ…嬉しいぃ…」
まるで酔ったように簪は顔を蕩けさせた。
「姉さんは…私を姉さんみたいにする為にそうしたんでしょぉ…?だったら感謝しか浮かばないよぉ…」
「あらあら」
抱きしめられ、頭を撫でられ続けながら簪はうっとりと答えた。
「合格よ。貴方は私のナンバーズに相応しい」
「ナン…バーズ?」
「そう。貴方が本能で足りないと感じたモノ、それは戦闘機人じゃないから感じたモノよ」
「じゃあ…!」
「ええ、貴方を生まれ変わらせてあげる」
ギンガに導かれ、簪はポッドの中に自ら入った。
そして己の全てをギンガに委ねるように目を閉じた。
「さようなら、更識簪」
ギンガは達成感を感じながらコンソールを操作し始めた。





次回更新予定2/8
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