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戦闘機人 クロスワールド IS編 No.7

姉から妹へ。
姉妹逆転も良い物ですな。



楯無は無機質な部屋の中で目を覚ました。
「え?」
僅かな頭痛を感じて頭を触ると、その手はグローブに包まれていた。
意識が回復してくると、自分の身体に驚いた。
下着は無く、身に着けているのはラバースーツのみだった。
「うっ…」
そこまで確認した所で、楯無は先ほどまでの事を思い出した。
妹に敗け、信じていた従者達にも裏切られた。
そして頭の中では知らない誰かに従わなければならないと訴えている。
「あら、起きていたのね?」
「っ!あっ…」
「あらあら」
そんな楯無の部屋に一人の女性が入ってきた。
「あまり無理をしてはダメよ?今の貴方は不完全なのだから」
「…貴方は?」
「フフッこんな状況でも落ち着いてるのね。それだけ冷静だったら私が誰かもわかるんじゃない?」
「え?」
女性の言葉を聞いた瞬間、楯無の頭の中に女性の顔と名前が浮かんできた。
ギンガNo.13お姉様?嘘っ!?なんで!?」
「あらあら、あの子ったらちゃんと説明もしてないのね?よっぽど嬉しかったみたい」
「何を言って!?」
「落ち着きなさい」
「んん!?」
混乱する楯無に、女性、ギンガは強引にキスをした。
「あぅ…んちゅ…チュバ…」
「んふ♪くちゅ…チュル…」
ギンガのキスに、楯無はあっさりと陥落してしまった。
「んん…どう?落ち着いた?」
「はひぃ…ギンガNo.13お姉様ぁ…」
まるで自分の意志から離れてしまったかのようにスラスラとギンガの名前が出てくる。
本当に自分の身体なのかも疑わしくなってくる。
そう感じていると、ギンガがそっと頭を撫でてきた。
「あっ…」
「もう、貴方はせっかちなのね。心配しなくてもちゃんと説明してあげるわ」
「…はい、お姉様」
楯無はそのまましばらくの間、ギンガに抱きしめられていた。











「さて、じゃあこの施設を案内するからついてきて?道中説明もするから」
「あ、はい」
ようやく落ち着いた楯無に、ギンガは優しく微笑んだ。
「まず貴方は自分がどうなったか良くわかってないでしょう?」
「ええ、その通りです」
「フフ、じゃあそこからね」
それから楯無はギンガから色々な事を聞いた。
ドクターの事、戦闘機人の事、ギンガの事や簪の事も。
「じゃあ簪ちゃI-1っ!?」
「ウフフ」
いつものように妹を名前で呼ぼうとした楯無の口からは妹を姉と呼んでいた。
「どうして!?」
「言ったでしょう?貴方はもうアルマーとして改造が完了している。だからナンバーズをそう呼ぶのは当たり前なのよ」
「は、はぁ…」
先程までの焦りがギンガの一言でストンと腑に落ちてくる。
『そっか、私はもうアルマーなんだからI-1様をそう呼ぶのは当たり前か』
ギンガと話す度に楯無の中の違和感や齟齬が無くなっていく。
自分の記憶領域が最適化されていくのを楯無は直に感じていた。
「とりあえず此処に貴方のお姉ちゃんの一人がいるわ」
「……」
「うわっほ~い!」
「きゃあ!?」
楯無が緊張しながら扉を開けると、中にはテンションの高い束が飛び出してきた。
そんな束をなんとか受け止めた楯無をギンガは困ったような笑顔で見つめていた。
「こらI-2?急に飛びついたらカタナがビックリするでしょう?」
「だってぇ~可愛い妹ができるって思ったら我慢できなくって~」
「……」
楯無はいきなりの事で固まっていた。
目の前の人物は世界的に有名なIS開発者の篠ノ之束博士。
しかし自分の頭に浮かんでくるのは自分の姉である束という事だった。
「安心してね~かたI-3ちゃんの事は私がちゃぁ~んとナンバーズにしてあげるからね~」
I-2お姉様…」
「ん?どーしたの?」
かつて箒ぐらいにしか見せなかった優しい微笑みを、束は楯無に向けていた。
「私…I-1お姉様に酷い事をしちゃった…」
「「…」」
「小さい頃に傷つけて…その上今度は戦闘機人を否定するような事を!?」
「こんな私でもI-1お姉様は…皆は妹にしてくれるかな!?」
涙を浮かべて叫ぶ彼女の精神は、少し退行しているようにも見える。
それは更識家当主として抑圧されてきた本当の彼女なのかもしれない。
「ん~それはね~」
「本人に聞いてみたらどう?」
「え?」
ギンガの言葉と同時に扉が開くと、そこには簪が楯無と同じようにナンバーズのスーツを着て立っていた。
I-1…お姉様…」
「うん、そうだよ。でもちょっと待ってて?ギンガNo.13姉様に報告しなきゃいけないから」
戸惑う楯無に、簪はニッコリと笑いかけた。
「只今戻りました」
「お帰りなさい。その後の処理は?」
「はい。ウツホとホンネを使って更識家の緊急の呼び出しという事にしておきました。
これで2日は時間が稼げるはずです」
「よくやったわ。でも大丈夫なの?」
「ええ、既にギンガNo.13姉様とI-2によって学園のシステムは掌握済み。教師の中にも既にアルマーに改造した者がいるから
問題ありませんよ」
誇らしげに語る簪に、ギンガは良くやったと言わんばかりに頭を撫でていた。
「ご苦労様、良い妹を持って私は幸せだわ」
「そんな…私はナンバーズとして当たり前の事をしたまでで…」
「ウフフ。本当はご褒美をあげたい所だけど、今は、ね?」
「はい…♡」
うっとりとした表情で簪は楯無に向き合った。
ビクッと怯える楯無に、簪はそっとキスをした。
『ふぁ…』
『コレが私の答え。貴方は私の大事な可愛い妹、I-ナンバーズNo.3刀奈I-3
『うん…うん!』
『もう、泣きながらキスなんて…しょうがない妹だね』
楯無は姉を確かめるように強く抱きしめながらキスを続けていた。














「改めまして、お姉様方。カタナ改め刀奈I-3!ナンバーズ化改造完了しました!」
それから数時間後、楯無は金色の瞳を輝かせながら姉3人に報告していた。
「うん。無事改造できたみたいだね」
「え~?かーI-1姉は私の腕前信用してないの~?」
「私の担任だった女を改造する時にやりすぎて廃棄寸前にしたのは誰だったけ?」
「ギクッ!?」
「そうよね~あの時私達が気づかなかったら私の計画に支障をきたしてたかもしれないわね~」
「ギクギクッ!」
誇らしげな表情から一変し、束の顔からはダラダラと汗が流れ落ちていた。
「あ、あの!」
そんな束を庇ったのは誰あろう楯無だった。
I-2お姉様をそんなに責めないであげてください!
お姉様は無茶してるように見えても、ちゃんと私達やギンガNo.13お姉様の事を第一に考えてるはずですから!」
「うぅ…!かたI-3ちゃぁ~ん!」
「きゃ!」
「2人がI-2さんをいぢめるよぉ~慰めてよぉ~」
「はい、もちろんです」
泣きつく束を楯無はあやすように頭を撫ではじめた。
「やれやれ、どっちがお姉ちゃんかわからないわね」
「ホント。心配いらないわ刀奈I-3。私もギンガNo.13姉様も、I-2を嫌いな訳じゃないから」
「はい、それも理解しています」
言うまでもなかったか。
そう感じつつも、簪はかつて不仲だった姉との新たな姉妹関係を嬉しく思っていた。
「さて、それじゃあ今後の方針だけど…」
「はいは~い!それについて私から提案があるよ~」
ギンガがこれからの事を話始めると、間髪入れずに束が切り出した。
「提案?」
「また無茶な事じゃないよね?」
「だ、大丈夫ですよ…ね?」
ジト目で束を見つめる簪に、楯無は一応のフォローを入れていた。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ!ちゃぁ~んと作戦があるから!」
それから束は自身の思いついた作戦を3人に話していった。

楯無 ナンコラ



次回更新予定 3/20
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コメント

No title

投稿お疲れさまです
洗脳描写もコラもよかったです
次は誰が堕とされるのか楽しみに待ってます

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