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思いつきその1












「はい、今日の授業は此処まで。皆お疲れ様」
J・S事件終結後、戦闘機人達は一人を除いて全員逮捕された。
そして管理局に協力的なメンバーは、会場隔離施設での更生プログラムを受けていた。
「それじゃあこれからは自由時間よ」
「「「は~い」」」
そんな彼女達に授業をしているのは同じ戦闘機人であるギンガ・ナカジマだった。
彼女も事件の時にスカリエッティに捕獲され、洗脳と改造を受けていた。
そんな事もあり、後遺症の有無や洗脳の影響を調査する為に彼女が教育係に任命された。
父親のゲンヤ・ナカジマは反対していたが、本人の希望もあって渋々納得した。
「教官、少しよろしいですか?」
「え?うん、いいよ」
そんなギンガに話しかけたのは七番目のナンバーズ、セッテだった。
「先程の授業の中でわからない事があったのですが…」
「何処?」
「冒頭部分のですね…」
セッテがこのプログラムに参加する事に他のナンバーズは当初驚いていた。
スカリエッティとトーレに絶対服従していた彼女が参加するとは思ってもみなかった。
しかし彼女から『これからの為』と聞き、セッテも人間らしい部分があったと笑っていた。
「よくわかりました。ありがとうございます」
「うん、わからなかったらいつでも聞いてね?」
「はい」
スッと手を差し伸べ、セッテはギンガに握手を求めた。
ギンガは笑顔でそれを受け入れた。
セッテはよくこうして握手を求めてくる。
それが彼女なりの表現法なんだとギンガは納得していた。
ギンガから離れると、セッテは他のメンバーにも話しかけていた。
メンバーの中で浮いているとチンクからも相談されていたが、あの様子なら大丈夫だと
ギンガは安心して部屋を出ていった。
ギンガが自室に戻ると報告書を書き始めた。
「っう!・・・」
しばらくすると頭痛が襲ってきた。
ズキズキと痛みが増していき、意識が薄らいでいく感覚があった。
何分、何時間経ったか分からないが、ようやく頭痛が収まってきた。
「はぁ…まだ本調子じゃないのかしら?」
いっそマリエルに相談しようかとも考えたが、彼女も忙しいだろうと考え直した。













「はい…今日はここまでね…」
それからギンガの調子はどんどん悪くなっていった。
そして他のメンバーも同様だった。
「チンク姉様、大丈夫ですか?」
「…ああ、問題ないさ」
「ノーヴェもウェンディも辛そうだね」
「ああ…」
「うぃッス」
「教官も不調のようです」
「だ、大丈夫よ」
頑張って笑顔を浮かべるギンガだったが、誰の目に見ても無理をしているのは明白だった。
「チンク達も無理しちゃダメよ?」
「了解した…」
元気なセインとオットー、ディードにセッテがそれぞれを介抱しながら帰っていった。
ギンガもなんとか自室に戻るが、もはや立っているのも辛い程の頭痛が襲ってきた。
「あぁ…!!うぐぅ!?」
頭を抱えてのた打ち回るギンガの瞳は、金色に点滅していた。
最初こそただ頭が痛いだけだったが、最近ではなにかの情報のようなモノが流れ込んできた。
「これは…施設…?」
自分の知らないはずの研究所のような場所。
中の施設からその利用方法。
自覚した途端にそれは一気に流れ込んでくる。
「あぅ…!うぇ…」
あまりの情報量に吐き気すら催す程だった。
それからしばらくして、ようやく落ち着いたギンガの瞳は金色のままだった。
「施設情報…入力完了…」
ボソっと何かをつぶやくと、ギンガは気を失った。







「今日は皆に犯罪者の事を学んでもらいます」
一時よりは顔色が良くなったギンガが言いだしたのはなんと犯罪者の事だった。
「ね~ね~」
「なに?セイン」
「アタシらも犯罪者だったんだよ?改めて勉強する必要あるの?」
「ええ、何がどう管理局にとって犯罪なのかキチンと勉強しないとね」
「なるほどね」
「「「………」」」
それからギンガが一つ一つ事例を挙げながら解説していった。
それを見ているナンバーズ達はセッテを除いて全員が食い入るように見つめていた。
普段茶々を入れるウェンディや、積極的に質問するオットーやディードも今日は終始黙ったままだった。
良く見れば全員の瞳が金色に輝いていることに気付く者はいなかった。
唯一画面を見ていなかったセッテはそんな様子を見て小さく笑みを浮かべた。
「では今日は此処まで。各自今日見たデータをキチンと記録しておくように」
「「「………」」」
セッテ以外は頷くと部屋に戻っていった。
「教官、少しよろしいですか?」
「ん?どうしたの?」
「今夜教官の部屋に行きたいのですがよろしいですか?」
「私の部屋に?」
「ええ」
「…ええ、いいわよ」
「ありがとうございます。では」
セッテに見つめられたギンガの表情は、感情が抜け落ちたように虚ろだった。








深夜、就寝時間を過ぎた後にセッテはギンガの下へ訪れた。
本来であればそんな時間に部屋を出ることは禁じられている。
しかしセッテは悠々と歩いていた。
「失礼します」
セッテが近づくと、ドアが自動的に開いた。
それも異常な事だが、警報が鳴る事も誰かが騒ぎ立てる事もなかった。
「はぁ…あぐっ」
「教官…」
「うぇ…?」
苦しむギンガにセッテはそっと口づけした。
「んぅ…はぁ…」
「くちゅ…んぁ…」
まるで苦痛を和らげるようにギンガはセッテの口を貪りだした。
セッテはそれに答えるように舌を絡めた。
「うちゅ…んん…あはぁ…」
「フフ…レル…ジュル…いかかですか教官?いえ、ナンバー13」
「ふへ…えへへ…きもちいぃ…」
「ではこれより貴方にデータを転送します」
「はぁい~」
「んっ」
セッテが再び口づけをすると、二人の戦闘機人システムがリンクした。
「んん゛ーーーーー!!!」
セッテから流れ込んでくるデータはただのデータではなかった。
とある人物の知識、思考、行動原理、その人物の全てと言っても過言ではないモノだった。
「くちゅ…レロ…んぅ…」
「ひぇぐぅぅぅぅ!!」
普通の人ならば人格が崩壊してもおかしくない情報量。
しかしギンガは戦闘機人であると上に、セッテからの快楽で精神が蕩けきっていた。
そしてそれはギンガと混じりあい、一つになっていった。
「カハッ!……」
「おっと」
リンクが終了すると、ギンガは意識を失いセッテに身を預けた。
それから数十秒とかからずにギンガはカッと目を見開いた。
「おはようございます。ご気分はいかがですか?」
「ええ、問題ないわ」
クックックと微笑を浮かべながらギンガは立ち上がった。
その姿はナンバーズ達の生みの親であるスカリエッティとかぶって見えた。
「インストールしたデータの方は?」
「そちらも問題ないわ。うまく以前の私と統合できたみたい」
「それは良かったです」
「さて、これから忙しくなるわね」
「そうですね」
「他の子達は?」
「チンク、ディエチ、ノーヴェ、ウェンディは、貴方の指示ですぐにでも再起動します」
「あらそう、ならやっちゃいましょうか」
パチンとギンガが指を鳴らすと、彼女に四人のデータが流れてきた。
彼女達には現在収監されている三人と、亡くなったドゥーエの全データが隠しファイルとして記録されていた。
それはスカリエッティの指示で解凍され、強制統合されるモノだった。
最近の彼女達の不調はその統合に馴染むように人格データを改造している副作用だった。
「それで?セイン達はどうなってるの?」
「セインはそのままとして、オットー、ディードの二人は貴方の以前の人格データを使用して人間らしさを演出して聖王教会に潜入させる予定です」
「そぉう」
セッテの報告を聞いているギンガの表情はどんどん邪な顔になっていった。
「では教官、いえドクター」
「待ちなさい」
「はい?」
「私の事はギンガと呼びなさい」
「?ですが…」
「その方が色々と都合がいいのよ、色々とね」
クックックと笑うギンガはもはやスカリエッティと同一人物と見間違う程だった。















「ギンガ、私だ。入って良いか?」
『チンク?ええ、いいわよ』
チンクが部屋の中に入ると、そこは白衣を着たギンガが座っていた。
その後ろには人が入る程の大きさのカプセルがいくつも並んでいた。
「どうしたの?」
「ああ、妹達からの報告だ。聖王陛下の教育は順調だそうだ」
「ふ~ん」
「どうかしたのか?」
「もうアレには興味ないのよね。聖王の鎧も無い小娘に使い道があるわけじゃないし」
「そうか…ではオットーは任務完了か?」
「そうねぇ…」
「そういう時は人質にすればいいッスよ」
突然部屋の入口からギンガとチンク以外の声が聞こえてきた。
「ウェンディ」
「おいウェンディ!あれほどノックしろと言ってるだろう!!」
「そんな事い~じゃないッスか」
「駄目だ!我々の目的が知れ渡りでもしたらどうする!!」
チンクのお叱りもウェンディにはどこ吹く風だった。
「ギンガ様、ただいま戻りました」
「無事に任務完了だ」
「そう、お疲れ様」
チンク達は更生プログラムを終了した後ナカジマ家に引き取られた。
とは言ってもゲンヤが謎の病で入院しているのでギンガが家主であるが。
「それで、ちゃんと始末できた?」
「ああ、ディエチのお蔭でうまく始末できたよ」
「ノーヴェがその身体で誘惑したお蔭でもあるよ」
「おやおや~アタシの事はお忘れッスか~?」
「待てウェンディ!話は終わってないぞ!」
チンクにはトーレ、ノーヴェにはドゥーエ、ディエチにウーノそしてウェンディにはクアットロのデータがインストールされている。
彼女達の思考はインストールされたデータにより変化していた。
オリジナル達のようにスカリエッティに心酔し、絶対の忠誠を誓う思考回路に。
「さて貴方達、昨日スカリエッティ達が死んだわ」
それを聞いたチンク達は歓声を上げた。
「やっとか」
「これでようやく裏で活動できるッスね」
「私達の力を見せつけるにはこうでもしないとね」
「アタシらの身体ならどうにだってできるしな」
身内ともいえるスカリエッティ達が獄中で謎の死を遂げたのに、彼女達の反応は薄かった。
「失礼します」
そんな彼女達の下に訪れたのは同じく更生プログラムを終えたセッテだった。
ギンガは二代目スカリエッティを裏社会で名乗り、期が来ればまた違法研究を再開すると公言してきた。
それも堂々と。
管理局は所詮模倣犯だと決めつけているが、裏の住人達はすぐに反応した。
「以前の施設は執務官達に押さえられているようです」
「そ、まあ此処があるからいいけど」
「ですが依頼者は殺到しています。どうされますか?」
「あらあら、そんなに私が必要なのね。愚かしい事」
そんな連中をギンガはあざ笑っていた。
「じゃあディエチ、手伝ってちょうだい?」
「はい、もちろんです」
ギンガに付き添うディエチはウーノを連想させ、
「我らも気を引き締めなければな」
気合を入れるチンクはトーレを彷彿とし、
「アタシらも頑張ろうぜ?」
「もちろんッスよ、ノーヴェ♡」
抱き合うノーヴェとウェンディはドゥーエとクアットロが思い浮かんだ。
「さあ行くわよ!私達の楽園の為に!」
立ち上がり、両手を広げるギンガはまさにスカリエッティの再来を想わせた。
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